蔵の春

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肥後ナイフ「蘓山熊城」

肥後ナイフ「蘓山熊城」

 この「蘓山熊城」は、肥後守・肥後ナイフらしからぬ銘の珍しい肥後ナイフで、蒐集家にとってはこうした珍品を入手できると喜びも格別です。1文字目の「蘓」は「魚」ではなく4つ点が「大」で、ワープロでは変換が出来なかったのであしからず。

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 ネットで「熊城」を検索すると、山梨県甲府市の熊城がヒットした。この城は、武田信虎が永正16年(1519年)に躑躅ケ崎館を築き、詰め城として築いた要害山城の支城として築城されたとされている。この「熊城」か、あるいは他の「熊城」にしろ、何かのイベントの記念品として作られて関係者に配られたものかもしれない。

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 刻印は「蘓山熊城」のみで、文字に朱が施されている。鞘長9.8㌢で、元は銅メッキが施されていたようだ。刃材は割込。座金は両面とも平座金。チキリはやや丸みを帯びて丁寧に成形されている。

 全体的にしっかりとした作りで、切味も良さそうだ。もしかすると「肥後隆義」で知られる藤原製作所のOEMではなかろうかと推測している。藤原製作所は、兵庫県小野市の老舗の肥後ナイフの製造元で、数年前に廃業したが、この「蘓山熊城」は数あるOEMの1つのような気がする。