蔵の春

肥後守・肥後ナイフ・電工ナイフetc

「肥後守を研ぐ」その4

肥後守を研ぐ」その4

 この石は、丹沢山地西部の沢を歩いて採取してきたもの。岩石の種類は判らない。この一帯は数年前に集中豪雨に見舞われて甚大な被害を被った。未だ沢沿いのあちこちに爪痕を残しており、この石は土砂崩れの際に沢に流れ込んだものだろう。

イメージ 1

 丹沢山地は山が古いので風化して脆い岩石がほとんどだが、この石は固くて研ぎ面を平らにする作業が大変だった。ディスクサンダーでざっと平らにしたあと荒砥で擦ったが、なかなか真っ平らにならず適当な所で良しとした。表面はつるっとしていてやや舐めっこい感じがする。細いヒビのような筋が全面に走っているが、割れるほどのものではなく、研ぐ際に引っかかるような感じもしない。

イメージ 2

 研いだのは今回も割込刃の「肥後隆義」。前回同様にダイヤ砥石の800番でざっと研ぎ、最初は水に濡らしてそのまま研いだ。研磨力が弱いのか研ぎ痕の細かい筋がわずかに残っており、全体的に半光沢のような状態で、鍛接線の出ももう一つだった。

イメージ 3

 そこで秘密兵器の登場。前回使った小豆色の石より少し柔らかい石を擦り付けて研ぎ直したところ、細かい筋はほとんど消えて今度は鍛接線がきれいに出た。前回の時よりもきれいに研ぎ上がったような気がする。もう少し根気よく研げば良いのだが、肥後守・肥後ナイフはこの程度で十分だ。
 使った小豆色の石は固さが3種類ぐらいあり、砥石の固さに合わせて使い分けると良さそうだ。