「肥後忠時」

「肥後忠時」

　この「肥後忠時」は、戦後に作られた廉価版の肥後ナイフの一つだろう。

　刻印は、「登録」と「肥後忠時」、その下に「割込」が打たれている。２本とも文字が大きめで同じ刻印のようだ。

　サイズは、２枚目の写真の上が鞘長10.3㌢で、鞘はクロムメッキ。刃材は割込で、刃厚が2.1㍉。小刃が付いている。鞘の状態が今ひとつだが研いだ痕跡がなく、ほとんど使われていなかったようだ。下は鞘長8.9㌢で、鞘には真ちゅうメッキが施されている。刃材は割込で、刃厚が1.7㍉。

　座金はいずれも両面とも平座金で、チキリは上が細め、下はやや丸目で平たくと形状がずいぶん違う。作りは比較的良い方で、刀身の形状などが「肥後宗義」によく似ていると思うが製造元は分からない。