蔵の春

肥後守・肥後ナイフ・電工ナイフetc

無銘の肥後ナイフ

無銘の肥後ナイフ

 この肥後ナイフは、ヤフオクで落札した3本セットのうちの1本。本命は他の1本で、いわば“おまけ”のように付いてきた。

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 出品時に掲載されていた写真では、製造時期がかなり古いものであることは間違いなく、銘は確認が出来なかったが「もしかすると」と淡い期待を抱いていた。手元に届き、本命を差し置いてさっそく鞘の錆を落とすと、どう見ても刻印が打たれていた形跡がない。蒐集するに当たって無銘であることは致命的欠陥だ。

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 しかし、刃を広げて評価が一変した。この手のものは刃厚が薄くて力を入れて使うと曲がってしまうようなものがほとんどだが、この個体に限っては刃長6㌢に対して刃厚が3㍉もあった。刃材は全鋼のようだが、形状も整っておりなかなかのものだ。

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 サイズは鞘長8.2㌢。分厚い刃に比べると鞘材が薄く、やや心許ない感じがする。座金は両面ともなし。チキリは厚めできれいに成形されている。無銘とはいえ思いがけない掘り出し物だったが、せめてもう少し鞘材が厚ければと残念極まりない。