蔵の春

肥後守・肥後ナイフ・電工ナイフetc

「肥後乃武蔵」

「肥後乃武蔵」
 この小さな肥後ナイフはお洒落な逸品だ。上品な和紙に包まれ、その中の布製のケースに収めてある。
 肥後ナイフを包んである和紙には「呈」「山鹿温泉 旅館 研屋」と電話番号が印刷されている。ネットで検索すると、今も余震が続く熊本地震で甚大な被害を被った熊本県熊本市内の和風旅館の老舗がヒットしたが、果たして同じ旅館だろうか。
 和紙の裏面には、「登録肥後乃武蔵之証印」と「切味検定済」、さらにひょうたん型の「肥後守御刃物所」の3つの朱印が押された白い和紙が張り付けてあり、その下に「かねもきれる、ひげもそれる。御試し下さい」と墨で印刷されている。
 布ケースの中の肥後ナイフは、表面に朱色の細字で「肥後乃武蔵」、裏面に「山廉研屋」の刻印が打たれている。「山鹿」ではないので「あれ?」と思ったが、ルーペでよく見ても「山廉」としか読めない。心憎い包装に加えて小さい割には丁寧な作りで、何かの記念品として宿泊客などに進呈したものか。これもヤフオクで入手した。
 鞘は銅メッキのようで、鞘長6.3㌢。刃は全鋼で、和紙に包まれているからかサビもなくピカピカに研がれたまま。座金は両面平座金かと思ったが良く見ると菊座金のような模様がある。
 肥後守にこうした粋な使途もあったことに嬉しく感じた。どこで製作されたものだろうか。
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