蔵の春

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電工ナイフ「冨士駒」

電工ナイフ「冨士駒」
 「冨士駒」は、グリップのジグドボーンの色に特色がある。一般的に鹿角の色に似せて焦げ茶色ぽいものが多いが、「冨士駒」は漂白したような白をベースに黒っぽい上塗りがされている。鹿角の色にこだわらずに独自のカラーを出したかったのだろうか。どことなく上品な雰囲気がある。

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 鞘長11㌢。口金は真ちゅう製。ブレイドには「特刃」「冨士駒」の刻印が打たれている。刃材は主に割込とか特殊鋼といった表記が多いが、「特刃」は珍しい。刃は偶然にも先に紹介した「孫六」と同様に1本目が片刃で、2本目が蛤刃。こちらも元から2種類の刃があったのか、後から加工したものかは判断できない。

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 ネットで「冨士駒」を検索したが、残念ながら手がかりはなかった。電工ナイフには「元駒」「本駒」「江戸駒」など「○○駒」という銘の刻印が多いのは何故だろう。製造元の本家とその分かれなど同じ系列であることを意味するものなのか。それとも単に当時の流行だったのか。
 刻印に関しては、製造元が分からない無印の電工ナイフが意外と多い。電工ナイフはあえて刻印を打つ必要のないナイフだったのか。それはないと思うのだが。
 蒐集した電工ナイフを紹介をしているのに、専門的な知識がなく詳しいことはほとんど分からない。資料と言えば「ナイフマガジン」の2005年12月号と2006年2月号に掲載された電工ナイフ・海軍ナイフの特集くらい。いつも疑問符で終わってしまい申し訳ない。