蔵の春

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電工ナイフ「■久」

電工ナイフ「■久」

 この「■久」は、おそらく戦後に製造された電工ナイフの1つと思われる。

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 グリップはジグドボーン製で、長さ11.6㌢。一般的なものより少し細めだ。ブレイドはドロップポイントタイプ。刃材は全鋼のようで、刃厚は3.5㍉ある。ボルスターは、真ちゅう製の横溝が1本入ったこの時期の電工ナイフの定番タイプ。

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 製造元の手掛かりとなる刻印は、リカッソの部分に打たれているものの、1文字目は残念ながらまったく消えており、2文字目がかろうじて「久」と読める程度。「何とか久」の刻印のものはこれ1本しか所有しておらず詳細不明だが、作りは申し分ない。

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 電工ナイフは、一見どれも同じような作りだが、ブレイドの形状が多種に及ぶ。アウトドア用のスポーツナイフは別として、電気工事の現場では扱う電線の太さや用途によって形状の違うタイプが使われていたのだろうか。