「山平」肥後守 5
「山平」肥後守は、これまでに横折り鞘や縦折り鞘、真ちゅう鞘のタイプを記述してきたが、今回は横折り鞘の珍しい刻印のものを紹介する。
刻印は「登録」と「割込」、その下に「山平」と「肥後守」「謹製」が打たれている。鞘に「謹製」の打刻があるのは数少ない。
サイズは鞘長9㌢で、鞘には真ちゅうメッキが施されている。刃材は言うまでもなく割込で、刃厚が2㍉。座金は両面とも平座金。チキリは丁寧に成形されている。
「山平」は、言わずと知れた「山正」肥後守の小阪富男氏の兄上・小阪延雄氏によるもので、丁寧な作りに定評がある。この個体もデッドストックのようで、仕上げのグラインダー痕がきれいに残っている。