蔵の春

肥後守・肥後ナイフ・電工ナイフetc

無刻印の古い「電工ナイフ」

無刻印の古い「電工ナイフ」

 今日は朝一でIさんのフリーマーケットをのぞいてきた。先月は天候不順で中止だったので2カ月ぶりの開催だが、残念ながら収穫はなかった。先月会った時に6月をもってフリマを終了すると言っていたので確認すると、引き継いでやってくれる人が見つかったとのこと。よかった。


 先に同様の「電工ナイフ」を紹介した時と説明が重複するかもしれないが、今回はどこか雰囲気のある古い「電工ナイフ」2本。
 こうした大型のフォールディングナイフは、明治20年代頃から盛んに生産され、海軍用のナイフとして採用されたものもあるが、一般にも「電工ナイフ」や「海軍ナイフ」などと呼ばれて市販されていたようで、この2本もその類いだろう。

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 「ナイフマガジン」の電工ナイフ・海軍ナイフの特集ページに金物店の古い商品カタログが掲載されており、その中に同じような形状のナイフが「海軍ナイフ」として載っている。
 1本目のブレイドの形状は、商品カタログに掲載されているイラストに比べてちょっと先詰まりだが、南洋ブレイドと呼ばれるものか。2本目は少し細身のペン型ブレイド。先に紹介した古い「電工ナイフ」もそうだったが、どちらも製造元が分かる刻印がない。ボルスター(口金)は古いタイプのものが使われており、おそらく戦前に製造されたものと推測する。

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 1本目のグリップは、平たいのでジグドボーンに見えるが、鹿角の髄が薄く残っており、どうやらスタッグホーンのようだ。太い角の根元当たりの部分を削って平らに加工したものか。2本目はスタッグホーンに間違いない。
 戦後は呼称も「電工ナイフ」に統一されて、グリップの材質は主流だったジグドボーン、スタッグホーンから木製やプラスチック製に替わった。戦後に製造されたものは、グリップの形状が一部を除きほぼ真直ぐ水平に近いが、初期のものは握りやすいようにか尻の方が少し膨らみ、ボルスターに向けて細くなっている。
 グリップのサイズは1本目が12㌢、2本目は11.7㌢。今でも十分にアウトドアで活躍しそうなナイフだ。