蔵の春

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電工ナイフ「美鈴駒」

電工ナイフ「美鈴駒」

 この電工ナイフはそれほど古いものではないと思う。一般的な木製グリップの電工ナイフに比べて各パーツが個性的だが、全体的にどことなく木製グリップの「本駒」に似ている気がする。

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 まずはグリップだが、初期の頃のスタッグホーンのように尻の部分が丸く太くなっている。木製グリップの電工ナイフとしては特徴的な形状で、握った時に薬指と小指の掛かりが非常に良い。材質は分からない。
 ブレイドの形状は、角型を少し尖らせたタイプで、刃先の角の部分が丁寧に処理されている。刃材は全鋼のようで、ブレイドに「登録」「美鈴駒」の打刻がある。

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 次にボルスター(口金)だが、一般的な薄いスチールや真ちゅうの板を形成したものではなく、少し厚めの長方形のスチール板を当てている。「元駒」木製グリップのボルスターもスチール板を使っているが、こちらの方が格段に大きく、厚さもある。先の方が少し薄くなるように加工されており、横溝が2本入っていることで全体的にバランスが良くなり、大きさの割に締まった感がある。

 グリップの長さは11.2㌢。こうして見ると「元駒」と似て非なるもので、資料がないので分からないが、もしかすると「元駒」から分かれた方が製造したものかも。独創性に加えて作りもしっかりとしており、握ってみると見た目よりも軽い。