蔵の春

肥後守・肥後ナイフ・電工ナイフetc

「山正肥後守 秋水」

「山正肥後守 秋水」
 先に紹介した『暮しの手帖』の商品テスト企画「220本の肥後守をテストする」で、第3位となったのが故小阪富男氏の「山正肥後守 秋水」。第2位の「トップマン肥後守割込」と第7位の「トップマン肥後守鍛造」も小阪氏の作で、このテストでも小阪氏が製作した肥後守の切れ味の素晴らしさが証明された。
 鞘裏の「秋水」のネーミングが気に入り、ヤフオクに出品されると毎回のように入札に参加してきた。7~8年ほど前は出品されるたびに高額落札が相次ぎ、駆け出しの私などは割り込む余地がないほどで、半ば呆れ気味で高騰する落札価格の行方を見守っていた。
 そんな「秋水」の過熱したブームが一段落した頃から1本、また1本と手に入れることができるようになった。このたびブロクを開設するに当たり、数えてみたら20本余あった。サイズは特大、大、中などがあり、縦折り鞘のものも1本ある。
 写真の秋水一覧は、サイズの大小に限らず全て同じ「山正肥後守 別打」「秋水」の刻印だが、鞘材や座金などに若干の違いがあるので抜粋して並べてみた。
 2枚目の写真は、鞘裏の「秋水」の上に打刻されている「ゝ」を比べたもの。小阪氏は90歳を過ぎるまで肥後守の製作を続けていたと聞く。同じ刻印を長い間使い続けているうちに次第に消耗してしまったのか、古いものには「ゝ」が3つあるが、製作年代が新しくなるにつれてその数が減り、一番新しいと思われる右端のものは完全に消えて「秋水」の打刻しかない。肥後守はこうして一つの刻印の変遷を見るのも面白い。
 山正「秋水」をはじめ小阪氏作の肥後守は特に思い入れが深いので、「萬成肥後守」や「トップマン肥後守」を含めて蒐集の際のエピソードなどを交えながら何回かに分けて紹介していくことにする。

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