蔵の春

肥後守・肥後ナイフ・電工ナイフetc

肥後守を研ぐ

肥後守を研ぐ

 子供の頃は、愛用していた肥後守が切れなくなると、刃を平たい石で研いでいた記憶がある。刃に擦過痕が残ろうがとりあえず切れれば良かったので、研ぐ石に拘りはなかった。
 蒐集した肥後守や肥後ナイフは、入手時に状態の悪いものも多いので手を入れたくなるが、刃欠けのあるものはある程度まで成形し、錆の酷いものだけ人工砥石でざっと研ぐだけ。個人的には肥後守・肥後ナイフにピカピカの刃は似合わない気がするので、ほとんどがセラミック砥石の800番で研いで鍛接線がはっきりした時点で止める。

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 この程度の研ぎであれば、子供の頃のように自然石で研いでみようかと思いつき、昨年1年間はハンマーを片手に箱根西麓や愛鷹連峰、丹沢山系など周辺の山々の林道や沢に入って露出した斜面や川原で砥石になりそうな石を採集しまくった。

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 採集してきた石は、まず荒砥やディスクサンダーを使ったり、比較的柔らかなものはコンクリート面に擦り付けたりして研ぎ面と底を平らにする。やり始めるとムキになる性格なので、半年ほどで右手の中指と左手の薬指がバネ指になってしまい、最初の頃は耳栓をせずにディスクサンダーで削っていたためかキーンと耳鳴りがするようになった。おまけにマスクをせずに作業をしていたので粉じんを吸い込んでしまったようで、健康診断で両肺に小さな粒の影が幾つかあると言われてしまった。家人にも「遊びもほどほどに」と呆れられ、現在は自粛している。

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 そんなこんなで、自作の天然砥石が小型のコンテナボックス数箱分も溜まったので、そのうちに試し研ぎを少しずつ紹介させていただくことにする。砥石の種類もよく分からないズブの素人であり、遊び心で石を平らにして肥後守や肥後ナイフが研げるかどうかのレベルなので、一般的な天然砥石とは一線を引いて御覧いただけたらありがたいです。